jgapのトレーサビリティーの為の管理手順

食中毒事件が起きると、消費者の健康に被害がでるだけでなく、原因と疑われる食品への信頼が失われ、経済的に大きな損失がでる可能性があります。
生鮮野菜は、肉類と比べて微生物が増えにくいと言われており、食中毒を起こす微生物に汚染される可能性は低いと考えられます。それにも関わらず、生鮮野菜が原因と考えられる大きな食中毒事件が海外で報告されています。
衛生的に生鮮野菜を管理する習慣があっても、万が一、栽培から出荷までの過程で問題が生じれば、生鮮野菜が食中毒を起こす微生物に汚染されてしまうかもしれません。このような事が起きないよう、栽培から出荷までの過程で注意を怠るわけにはいきません。
そこで、農林水産省は、水や家畜ふん堆肥の管理、手洗いなど、衛生上の注意すべき点をまとめた指針を作りました。生鮮野菜を衛生的に保ち、食中毒事件が起きないように、この指針を役立てて下さい。また、ご自分の衛生管理の取組をチェックするためのシートを付けま
したので、活用して下さい。

1.生産段階の野菜も汚染される可能性があります
食中毒を起こす微生物には、動物やヒトの腸管の中にいて、ふん便とともに外に出されるものや、もともと土や水などの環境中にいるものがあります。 野菜を生産する際は、水や家畜ふん堆肥、作業者の手などを通じて、野菜が食中毒を起こす微生物に汚染されてしまう可能性があります。
実際に、近年、海外では、生産段階で汚染された野菜が原因とされる大きな食中毒事件が起きています。

2.生産段階でも野菜への汚染を防ぎましょう
野菜を十分に加熱すれば、それに付いている食中毒を起こす微生物のほとんどが死にます。しかし、中には加熱しても生き残るものや、微生物そのものは死んでも、熱で壊れにくい毒素を残すものもあります。
加熱せずに生で食べる野菜では、洗浄や消毒によって食中毒を起こす微生物を減らせますが、完全に除くことはできません。また、温度や栄養などがこれらの微生物にとって都合の良い条件になると増えたり、少量で食中毒を起こしたりすることもあります。
このため、特に生で食べる野菜は、その生産段階でも、食中毒を起こす微生物を「付けない」「増やさない」ための衛生管理が必要です。

私たちの体の表面や、周りの空気や土壌などの環境には、目に見えない微生物がたくさんいます。
微生物の中には、例えば、味噌や漬物などの発酵食品を作るときに使う有用なものもいれば、食中毒や、野菜の病気・腐敗の原因となる有害なものもいます。野菜を作るときは、有害な微生物に気を付けなければいけません。
この指針は、食中毒を起こす微生物を対象にしています。その主なものに、腸管出血性大腸菌やサルモネラなどの細菌、ノロウイルスなどのウイルスがあります。

 

ウイルスは

1 mmの約1000分の1 ‚ 1 mmの約100万分の1‚ 自分の力で増殖できる ‚ 生きた細胞の中でしか増殖できない
これらの食中毒を起こす微生物は、野菜を腐らせる微生物とは種類が違います。ただし、食中毒を起こす微生物の汚染を防ぐための取組により、野菜を腐らせる微生物も減って、品質がより長く保たれる可能性があります。 


生鮮野菜を衛生的に保ち、食中毒が起きないようにすることは、消費者の健康を守るだけでなく、食中毒事件による経済的な損失を防ぐことにもつながります。生産段階での対策をいま一度確認し、実践しましょう。

1)栽培に使う水の管理
○ かん水や薬剤散布など、栽培に使う水が、河川やため池等の地表水、地下水、水道水のいずれなのかを知る。
(水道水や、地域の保健所等が飲用にできると認めた水を使うことが望ましい。)

 

○ 地表水や地下水を使う場合、その水路やバルブ等が、動物ふん等の汚物や、家畜ふん堆肥で汚れていないか、定期的に観察する。また、大雨や洪水の後にも、汚れていないか観察する。

○ 観察した結果、水路やバルブ等が汚れていたら、 ‚ 汚れている所を清掃するとともに、今後、汚物や家畜ふん堆肥が水に流れ込むのを防ぐよう努める。
‚ 汚れが残っている間は、収穫直前に、その水が野菜の可食部に直接かかるようなかん水(頭上かん水)を行わない。また、その水を、野菜の可食部にかかる薬剤の希釈に使わない。

 

○ 家畜ふん堆肥の製造では、
‚ 切り返し等により、全体に空気が入るよう努める。 ‚ 副資材(例:もみがら、おがくず)の利用等により、水分を調整するように努める。
‚ 70℃の発酵が数日間続くようにすることが望ましい。
○ 原料の家畜ふんや製造途中の堆肥が、出来上がった堆肥にふれないようにする。
○ 他者から入手した家畜ふん堆肥をそのまま使う場合は、これらの事項を守って作られたものであることを確認するよう努める。

アコーディオンのコンテンツ

表面に付いた汚物
や家畜ふん堆肥、野菜残さを洗い流す又は取り除くことにより、清潔に保つ。
○ 汚物や家畜ふん堆肥の運搬に使った車両は、収穫物の運搬には使わないことが望ましい。
‚ やむを得ず収穫物の運搬に使う場合、車体をよく洗うとともに、清潔なシートを敷くなどにより、収穫物が荷台に直接ふれないようにする。


○ 農機具や収穫容器、ビニールシートやマルチフィルムなどの資材は、清潔な場所に置く、箱に入れる、シートをかぶせるなどにより、汚物や家畜ふん堆肥、ねずみや虫等にふれないように保管する。

○ 農機具や収穫容器の管理と作業者の健康・衛生管理を行う。
○ 収穫作業では、収穫物の入った容器を直に地面に置かない、清潔
なシートをかぶせるなどにより、収穫物が汚物や家畜ふん堆肥、地面の土、ねずみや虫等にふれないようにする。
‚ 収穫物は、直射日光が当たらない、できるだけ涼しい場所に置く。
‚ 傷みや虫食いなどがあるために出荷できないものは分別する。
○ 収穫時には、水道水や、地域の保健所等が飲用にできると認めた水を使うことが望ましい。

器具や包装資材の管理、設備の管理、作業者の健康・衛生管理を行う。
○ 調製作業では、
‚ 野菜の乾拭きやブラッシングには、清潔な布やブラシを使う。
‚ 品目に応じて、野菜の傷んだ部分を取り除くとともに、野菜を傷付けないよう注意しながら土を取り除くよう努める。
○ 野菜の最終洗浄には、水道水や、地域の保健所等が飲用にできると認めた水を使うことが望ましい。
○ 調製済みの野菜は、品質が低下しないよう適切な温度に保つ。

○ 出荷には、定期的に清掃され、汚物や廃棄物など有害なものを運んでいない車両を使う。
○ 野菜以外のものと一緒に積んで輸送するときは、必要に応じて、野菜が他の荷物にふれないようにする。
○ 輸送中の野菜は、品質が低下しないよう適切な温度に保つことが望ましい。
○ 運送会社にも、これらの事項を守ってもらう。

ほ場又は栽培施設
○ 排水溝を設けるなどにより、大雨時に汚水がほ場や施設内に流れ込むのを防ぐとともに、速やかに排水するよう努める。
○ ビニールハウスやガラス温室等の施設を使う場合は、ネットの設置や、壊れた部分を修理し、入ってはいけないねずみや虫、鳥等が施設に入らないようにする。


○ 犬や猫などのペットも、食中毒を起こす微生物を持っている可能性があるので、ほ場や施設に入れない。
○ 使わない機材や野菜残さ等の廃棄物は、栽培中のほ場や施設、その周辺に放置しない。
○ 廃棄物は、それを処理するまでの間、野菜が植えてあるほ場や施設にねずみや虫等を引き寄せない場所に保管することが望ましい。

家畜ふん堆肥の製造・保管場所には

○ 屋根や排汁溝を設ける、施設の壊れた部分を直す、積まれた家畜ふん堆肥の全面をシートで覆うなどにより、大雨時に家畜ふん堆肥やその原料が流れ出て、ほ場や栽培施設、水路を汚すことのないよう努める。
○ 定期的に清掃し、家畜ふん堆肥やその原料が散らからないようにする。

調製・出荷施設の注意点は
 
○ 排水溝を設ける、凹凸のない床にする、掃除の妨げにならないよう機械や器具を置くなどにより、水はけがよく、清掃しやすくすることが望ましい。
○ 施設や設備は定期的に点検し、壊れた部分や不備があれば速やかに直すなどにより、ねずみや虫、鳥等が施設に入らないようにする。
○ 作業の後、施設内を整頓するとともに、施設や設備を清掃する。
○ 使わない機材や野菜残さ等の廃棄物を、施設やその周りに放置しない。
○ 廃棄物は、それを処理するまでの間、ねずみや虫等を引き寄せない場所に保管することが望ましい。
○ 低温保管の施設を清潔に保つとともに、壁などに結露した水滴が野菜にふれないようにする。

手洗い設備・トイレ は

○ ほ場や各施設から通える場所に、必要なときに使える手洗い設備やトイレがあることが望ましい。
○ 手洗い設備やトイレは、 ‚ 汚水がほ場や各施設、水路を汚さないようにする。
‚ 定期的に点検し、壊れた部分や不備があれば速やかに直すとともに、清潔に保つ

収穫した野菜を直売所に持ち込んで売るときも、衛生的に取り扱いましょう。
‚ 売れ行きにあわせて、持ち込む野菜の量や時間を決め、すぐに店頭に並べることが望ましい。
‚ 棚や板に並べた野菜に直射日光が当たらないようにし、品質が低下しないよう適切な温度を保つ。
‚ 土付きの野菜は、土の付いていない野菜と分けて並べる。
‚ 野菜に人の手ができるだけふれないよう、包装や並べ方を工夫する。
‚ 包丁やまな板、野菜を並べた板などは、使用後に洗い清潔な場所に置く。
‚ 閉店時、棚を清掃し、空になったかごや皿を洗う。
‚ 棚の清掃に使う布巾などは、毎日洗い、よく乾かす。
‚ 売れ残った野菜のうち、傷んだものは捨てる。また、翌日も店に出す野菜は、品質が低下しないよう適切な温度で保管する。

 

例えば米国では、2006年に、腸管出血性大腸菌に汚染されたサラダ用ほうれんそうによる集団食中毒が起きています(患者205名、死者3名)。欧州では、2005年に、ノロウイルスに汚染された冷凍ラズベリーによる集団食中毒(患者1000名以上)が、2011年には、腸管出血性大腸菌に汚染されたスプラウトによる集団食中毒が起きています。これらの事例では、生産段階での汚染が疑われています。