GAPをベースに「現場力」を高める

GAPは、食品安全や労働安全の確保、環境保全を主たる目的とする生産工程管理手法です

が、近年、多くの従業員を雇用する雇用型経営で、GAPへの取り組みをベースにして経営管理

の高度化を目指す事例がみられるようになりました。

事業規模の拡大が進む雇用型経営では、経営者の目の届く範囲が限られてきており、経営管理

の改善においては、圃場や現場で作業する従業員自ら問題を発見し、協力し合って問題を解決す

る組織づくりが重要となってきます。

 

 

①業務連鎖の明確化
各種作業の流れ、作業遂行上のルール、各従業員の役割が明確化され、従業員間で共有される
必要があります。JGAPなど一部のGAPにおいては、各種作業の流れや、作業遂行上のルール
などの明文化および従業員への周知を管理項目として求めています。
②人材育成
実際の業務運営を通じて問題点を発見し、改善していくことのできる人材を育成する必要があ
ります。
③問題点の共有・解決のための場の存在
関係者が問題点を共有し、解決のための知恵を絞る場を設ける必要があります。取り組むテー
マの大きさに応じて、朝礼や終礼、年度末の反省会などで議論していくことが求められます。
④責任・権限の明確化
命令・指揮系統、責任・権限を明確化する必要があります。また、可能な限り、組織の階層を
少なくすることで、現場の自主性が増すと考えられます。
⑤業績評価
組織の全体目標と整合性のとれた評価指標で、各部署や個人を評価する必要があります。
⑥情報共有
情報を関係者間で共有することは、問題発見、解決を容易にします。近年は、ITの発達によ
り、さまざまな経営データの収集・分析・共有化が容易となっています。
⑦基本哲学
経営者が、現場を重視するという基本思想、哲学を組織に根付かせる必要があります。
以上、まとめると、経営者が現場を重視するという基本思想を周知徹底し、日々の業務に関し
て、手順やルール、責任と権限を明確にしたうえで、研修などによる人材育成と、従業員間での
情報共有を進め、問題が生じたときには関係者間で議論し、そして組織の目標と整合的な指標で
従業員を評価することが、「現場力」向上につながるといえます。
一方、GAPは、農業生産および収穫物の出荷にかかわる作業内容を細分化して、食品安全や
労働安全のための作業手順策定や、ルール作りとともに、作業内容などの記録、作業内容の点
検・改善を求めています。したがって、「現場力」を高めるための7つの要素のうち、①業務連
鎖の明確化はGAPを導入することで達成できると考えられます。また、他のいくつかの要素に
ついては、GAPの管理項目への取り組み方を工夫することでカバーできるものと考えられます。
次章で紹介する4つの事例は、GAPの管理項目をベースとしながら、「現場力」の向上につ
ながる取り組みを行った事例です。いずれの事例においても、従業員が自主的に改善に取り組む
ようになったことで、経営改善が図られています。