この一年・内政 規制改革で逆風やまず 政府には白紙委任状を渡していない

この一年の内政を振り返れば、農政では安倍晋三首相の年明けの通常国会施政方針演説で全農改革、
酪農制度改革の名指しから始まる。「安倍農政」は引き続き、規制改革の推進と貿易自由化の加速を
車の両輪にする。残念にも、農業生産現場には“逆風”が止まらない。

国政の大きな分岐点は、10月22日の衆院選での自民党の圧勝だった。野党第1党・民進党が分裂し、

「安倍1強」のより強固な地盤固めが進む。国民的な議論が不在なまま、憲法改正への動きも加速している。

ただ、選挙結果を精査すれば、野党分裂による与党勝利といった側面が強い。決して安倍政権への国民の

「白紙委任」ではないことを裏付ける。衆院選を踏まえた日本農業新聞の農政モニター調査でも市場開放、
規制緩和を進める安倍農政への農業者の評価は極めて厳しい。

農政分野でもこの1年、具体的な改革が矢継ぎ早に進んだ。象徴するのは、農水省が通常国会に提出した

農業改革関連8法の成立だ。国会審議の過程で懸念が相次いだ。底流には根強い生産現場の不安の声があった。
種子法廃止や改正畜産経営安定法でも多くの付帯決議が採択された。最も懸念が残るのは農業競争力強化支援法だ。
国は農業生産資材や農産物の流通状況を施行後1年以内に調査し、2年以内に施策を検討することになった。
これは政府の規制改革推進会議がこだわる農協改革の「期限」と符合する。

JA全農の改革をはじめとする農協改革のフォローアップで、政府が同法を根拠に干渉を強める恐れはないのか。

同法では国の責任も数多く明記された。民間組織への介入の前に、制度見直しなど国のやるべき項目こそ加速させるべきだ。

特に重要なのは、現行の指定生乳生産者団体の生乳一元集荷を転換する改正畜安法で、規制改革推進会議の

意見を参考にとどめ、生産現場の声を踏まえた対応を求める内容を盛り込んだ点だ。規制改革推進会議の実態無視
の“暴論”は目に余る。制度改廃と「壊す」方にばかり力点が置かれている。

こうした中、自民党農林議員の巻き返しも目立ってきた。官邸や規制改革推進会議とせめぎ合いを続けながら、

生産現場の声を受けた反転攻勢である。卸売市場法改正での対応や肥育牛農家の経営安定支援へ牛マルキン9割補填前倒しだ。

だが、急進的な規制改革の動きが続く。本紙2面「今よみ」で東京大学大学院の鈴木宣弘教授はJAへ

の独占禁止法適用厳格化の動きに警戒を強めるべきと指摘。世界的には強化しようとしている協同組合共販だが、
逆に攻撃し崩壊させようとする今年を「わが国の逆行した異常性が際立った」と総括した。

自由化と規制緩和の歯車が回り続ける一方で、喫緊課題である生産基盤の強化、農業者の所得向上は先送りされたまま。

大きな問題である。

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