農産物検査見直し 影響大きく熟議が前提 農水省が農産物検査制度の見直しを検討している。米の等級を廃止し、品位鑑定の新たな手法を設けるもので、抜本的な変更になる可能性がある。だが、産地では米の1等、2等といった等級が長く定着し、取引価格にも反映されてきた。制度見直しによる生産・流通への混乱を起こしてはならないと農家の不安解消が見直しの大前提だ

農水省が農産物検査制度の見直しを検討している。米の等級を廃止し

 

品位鑑定の新たな手法を設けるもので、抜本的な変更になる可能性がある。

 

だが、産地では米の1等、2等といった等級が長く定着し、取引価格にも反映されてきた。

 

制度見直しによる生産・流通への混乱を起こしてはならない農家の不安解消が見直しの大前提だ

 

政府は2016年に新たな農業改革となる「農業競争力強化プログラム」を決定した

 

同プログラムに「農産物の規格(従来の出荷規格・農産物検査法の規格等)

 

についてそれぞれの流通ルートや消費者ニーズに即した合理的なものに見直す」

 

と盛り込まれた。これが見直しの根拠とされる。

 

農産物検査法は1951年、公正で円滑な農産物の取引や品質改善を促し、

 

農家経済の発展などにつなげることを目的に制定された。

 

米は国営で全量義務検査としてきたが、2006年度から完全民営化した。

 

16年度の民間の登録検査機関数は1683機関、農産物検査員は1万8258人、

 

この10年で293機関、5374人増えた。

 

専任の検査員が少なく高齢化が進んでいる。検査時期が集中するため、人繰りの難しさも増す。

 

一方で、死米や着色粒などの混入割合を調べる検査機器の技術開発が進んでいる。

 

「現行の目視による検査はぶれがある」とする意見もあり、

 

見直しには機器による計測に切り替える狙いもあるとみられる。

 

各産地が米選別時のふるい目の拡大などに取り組んだ結果、1等米の割合が高まり

 

1等、2等、3等を区分する必要性が薄れてきたことも見直しの背景にある

 

とはいえ、1等の格付けは多くの銘柄米の出荷基準になり、国民に高品質の主食を

 

安定供給する役割を果たしてきた等級を廃止した場合、混乱が生じないかまず心配される。

 

見直しでは、米のトレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)

 

制度などを踏まえて、農産物検査を受けなくとも、米の販売時に品種や年産などを

 

表示できることも検討課題になっているようだ。品種名などの表示は産地の

 

ブランド戦略の根底に関わるだけに、関係者の理解を得られない限り実施すべきではない。

 

政府はこれまで規制改革推進会議などの場でいきなり抜本見直し案を打ち出す手法で

 

農政改革を推進してきた。農産物検査制度は主食である米の生産・流通の実体経済に

 

大きな影響を与える。拙速を避け、生産現場の声をしっかり反映する、丁寧な議論が求められる。

 

 

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