農家はインボイス特例だとJA委託販売は免除されるようですが、直売所に出荷運営者が発行23年義務化へ周知を急ぐのか 財務省は検討をしている
財務省は2023年10月から物品の売り手に発行が原則、
義務付けられるインボイス(税額表)について、農家向けの特例措置を決めた。
年間の課税売上額が1000万円を超す「課税事業者」の農家が対象。
農家がJAなどに委託販売した場合はインボイスの発行を免除する他
農産物直売所に出荷した場合は、JAなどの直売所の運営者がインボイスを発行できる特例も設けた。
財務省は3月31日に公布した消費税法に関する政省令に
農家向けの特例を含むインボイス制度の詳細を盛り込んだ。
農水省と連携するなどし、農家への周知を図る。
インボイスは物品の売買の際に、売り手が買い手に発行する。
消費税は19年10月から、酒類と外食を除く飲食料品や新聞は8%に据え置かれ、
他は10%になる予定。
インボイスには、売買した物品のうちどれが消費税8%の対象になるかや、
税率ごとの消費税の合計額などを示す。買い手はインボイスを受け取ると、
仕入れ時に払った消費税を控除できる。
移行期間を経て、23年10月から発行が義務化される。
農家がJAや卸売市場などに売り値や販売先などを無条件で委託して出荷した場合、
インボイスの発行を免除する。
一方、委託販売された農産物を仕入れた事業者は、取引時にJAなどが発行した
請求書といった書類を保存していれば、それを基に仕入れ時に支払った消費税を控除できる。
委託販売の場合、買い手はどの農家の出荷物を仕入れたのかが特定できないため
インボイスの発行も求めることができない。そのため、こうした特例を措置した。
例えば農家が、JA運営の直売所に農産物を出荷して販売した場合、売り手の農家は特定できる。
こうした際は、取引の媒介役のJAがインボイスを発行できる特例も設けた。
その場合、農家はJAからインボイスの写しなど取引内容を示す書類を受け取り
、保存しておく必要がある。
一方、農家の9割が該当する、年間の課税売上額が1000万円以下の
「免税事業者」はインボイスが発行できない。
インボイスがなければ買い手は仕入れ時の消費税控除が不可能なため、
免税事業者の農家は取引を敬遠される懸念がある。
政府はインボイス導入後6年間は、免税事業者からの仕入れ時の消費税の
一部を控除できる激変緩和措置を設けるが、
将来的には課税事業者への転換が必要となる農家も出るとみられる。