北海道地震1週間 乳房炎多発 死亡牛も 回復兆候見せず地域経済に打撃 標茶、別海町

最大震度7を観測した北海道地震は13日で発生から1週間。全道が一時停電したことで、

 

酪農家が深刻な事態に陥っている。停電により満足に搾乳できず、乳量・乳質低下の要因となる乳房炎が多発。

 

淘汰(とうた)された牛や、死亡した牛も発生している。酪農専業地帯では、地域経済への影響が懸念されている

 

「助けを求めるように牛が鳴いていた。乳房炎も多発し、とにかくかわいそうだ」

標茶町で搾乳牛300頭を飼う宍戸豊さん(56)は力なく話す。6日の停電以降、

 

7日夜に発電機を借りて設備を動かし、2日ぶりに搾乳した。だが、出荷できずに、これまでに廃棄した生乳は30トン以上。

 

その間地下水をくみ上げていたポンプも使えず、水の確保にも奔走した。その後停電は解消した。

 

「牛の病気は大丈夫だろうか」。不安は的中した。

 

搾乳できないことによる乳房炎が50頭ほど発生。死亡した牛も出ている。

 

1日7トン搾っていた乳量は停電前の6、7割に落ち込んだ。体力を消耗し、牛は今も牛床でへたり込む。

 

地震発生から1週間がたとうとしているが、牛の状態は回復の兆候を見せない。

 

乳房炎は時間を空けて発症する場合も多く、今後も気が抜けない。

 

一般的に治療に1週間から10日間ほど要し、その間生乳は出荷できない。

 

回復しても最悪の場合、元の乳量に戻らないケースもある。

 

「今後どうなってしまうのか」(宍戸さん)。2016年に数億円をかけ牛舎を更新したばかり。

 

被害が収束するめどは立たず、不安が募る。

 

乳牛頭数が全国の市町村で最も多い別海町。玉置健三さん(60)は、

 

近隣の酪農家から発電機を融通してもらい、停電が復旧した7日夜まで1日1回やっとの思いで搾乳した。

 

ただ、搾乳牛45頭のうち、最大13頭が乳房炎を発症した。

 

停電解消後も乳業工場の受け入れができなかったため、やむを得ず生乳を廃棄した。

 

玉置さんは「助け合って搾ったのに、受け入れてもらえずショックだった」とうつむく。

 

道東NOSAIによると、根室地方の9月6~10日の5日間の乳房炎診断件数は3761件と

 

先月の同時期より1400件ほど増えた。別海町が最も多く、前月比8割増の2457件。

 

潜在的な発生数はさらに多いとみられる。同町が管轄の根室南部事業センターは

 

「診断件数は平時より大幅に増え、一時的に薬の在庫がなくなった。こんなことは初めてだ」と被害の大きさを訴える。

 

JAしべちゃの千葉孝一組合長は「処理した生乳に対する補償や、電力の供給方法の見直しが必要だ」

 

と強調する。別海町を管内に持つJA道東あさひでは、生乳生産量が25%ほど減少した。

 

JAの原井松純組合長は「二度とこうしたことが起きないよう、インフラ整備を充実してほしい」と訴える。

 

同町は「地域経済に何かしらの影響があるだろう。

 

町の産業の根幹を担う酪農家が一日も早く元に戻れるよう支援していきたい」(農政課)と強調する。

 

北海道地震は大規模な土砂崩れなどで41人が死亡し、一時は道全域の約295万戸が停電した。

 

停電はほぼ解消したが、電力の供給は綱渡りの状況が続き、節電が長期化する可能性もある。

 

生活再建に向けた動きが進む一方、現在も1590人が避難し、完全復旧までの道は遠い。

 

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