熊本地震から2年半 ミカン復活へ道筋見えた

熊本地震で被災した九州トップレベルのミカン産地、熊本市で復旧の成果が見えてきた。

 

大半の園地で工事が完了。園地の石垣崩壊が2000カ所を超えた市では独自の支援メニューを作り、

 

国の補助事業から漏れるミカン農家の復旧を後押ししてきた。地震から2年半。生産量を保ち、

 

後継者が続くよう、年末に需要が高まる中生品種「尾崎温州」の増産も進める。

熊本市が後押し 石垣補修で成果

 

同市西区河内町の面木地区。うっすらと黄色に染まる果実を支えるのは、修復が進む石垣だ。

 

 

標高150メートルにあるミカン畑。石垣は傾斜地の園地形成や管理作業の効率化に重要な役割を担う。

 

「親父に習って、崩れにくいように積んだ」。農家の田尻和弘さん(54)は壊れた石垣の一部を自分で積み直した。

 

総面積3ヘクタールある園地で、30カ所以上の石垣が崩壊。最もひどい場所は高さ2メートルの石垣が幅40メートルにわたって崩れた。

 

土砂が隣の園地に流れ込み、以前はスピードスプレヤー(SS)でしていた薬剤散布も手作業を余儀なくされた。

 

「大変だった。でもやめようと思ったことは一度もない」と田尻さん。

 

修理費が1カ所40万円を超える場所は国の事業で業者が補修したが、40万円未満の場所は市独自の補助金を使って自力で修理した。

 

地震で崩れないよう石を積むときに生コンクリートを入れ、固定した。2年がかりで土砂が片付き、今期からは機械での作業ができるようになった。

離農せず挑戦──有望品種 転換も

 

地震直後の調査では被害は農家382戸、約2100カ所に達した。

 

市やJA熊本市を中心にみかん園地復旧緊急プロジェクトチームを立ち上げ、地元の復興の意向を確認。農家の負担額を下げるため補助を手厚くした。

 

一部手つかずの場所もあるが、市に補助金の申請があった1588件の復旧が完了した。

 

JAによると地震を理由に離農したミカン農家はいないという。

 

JA柑橘(かんきつ)部会は全国的に需要が高まる年末に出荷できる、中生の温州ミカン「尾崎温州」を拡大する。

 

部会の生産技術部長を務める南邦彦さん(52)は改植を進め、今季は80アールほどで「尾崎温州」を栽培。

 

熊本産は早生が主流だったが、市場からの要望を受け増産する。

 

面積は約74ヘクタールと地震前より10ヘクタール以上増えた。JAの18年産の出荷量は約1700トンと前年比21%増を予定する。

 

3年前に息子の裕之さん(25)が就農し、3世代でミカン畑を守る南さん。

 

「30年前は240万トンあった全国の生産量が、今は80万トン割れ。若手が戻る中、ミカンで食べていける産地をつくる」と見据える。

 

 

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