地震、豪雨被災地 農泊「ふっこう割」対象外 旅客 呼び戻し苦戦

西日本豪雨や北海道地震などの被災地で、農泊に取り組む農家らが、顧客の呼び戻しに頭を悩ませている。

 

政府は「ふっこう割」として、被災地の観光復興に向け宿泊助成などの支援をするものの

 

旅行会社が扱わない農家民宿や民泊は対象外となる。農泊の復興は観光地と異なることから

 

インターネットでのアピールなど被災地に人を呼び込む方法を模索。

 

交流やつながりを深めることで訪れる人を増やす地道な対策を進める。

開業直後… 前向きに 愛媛県今治市

 

愛媛県今治市の大三島。大阪から移住した新規就農者の鍋島悠弥さん(31)は、7月下旬「農村ゲストハウスさかりば」を開業した。

 

交流を基軸に農業をしたいと6月に簡易宿泊業の許可を受けた直後、西日本豪雨が発生。

 

樹園地を巻き込んだ大規模な土砂崩れの発生など島は被災してしまった。

 

 

鍋島さんはゲストハウスを開業したものの、オープンセレモニーや大々的なPRができない状況が続き、

 

そのままシーズンオフの10月になってしまった。「豪雨の影響で飲食店もキャンセルが続出して島全体で客足が遠のいた。

 

その後も、台風が連続して安全を考慮し自分から断った客もいる」と嘆く。

 

島では橋や主要道路は滞りなく通ることができ、飲食店や直売所も品ぞろえ豊富に通常運営される。

 

ただ、土砂が残る農道や崩れた樹園地の石垣など豪雨の爪痕はまだ生々しく残る。

 

元地域おこし協力隊の鍋島さん。今後はゲストハウスで移住や地域活性化の研修会を開いたり、

 

宿泊を全国にいる協力隊ら仲間に呼び掛けたりして島に人を呼び込んでいく考えだ。

 

被災した経験を踏まえ「観光客だけを対象にした経営は厳しい。

 

顔の見える関係を強みに農泊を盛り立てていく」と、立て直しに向け前を向く。

地道な復興 打開模索 北海道 熊本

 

最大震度7を記録した北海道地震。北海道民泊観光協会によると、観光地のホテルや旅館業だけでなく、

 

農家民宿や民泊でも宿泊のキャンセルが相次いだ。観光庁や道では旅行会社を通じた宿泊などを補助する「ふっこう割」を用意したものの、

 

「農家民宿や民泊は対象外となっている」(道ふっこう割事務局)状況だ。

 

同協会の南邦彦代表は「税金なので農泊や民泊にも生かされるよう広く使ってほしい。

 

農家民宿に問い合わせをして、割引にならないとがっかりする客もいる」という。

 

今後は地域や食のイベントなどに民泊を手掛ける農家らと参画し、農泊ならではの復興を目指すという。

 

別海町で農家民宿を営む女性は「9月は停電で宿泊をキャンセルした酪農体験を通じ、訪れる人との関係を深めることを継続するしかない」と前を向く。

 

 

熊本地震の被災地、阿蘇地域では2年半たった今も観光客が減少したままだ。

 

県観光統計によると、阿蘇地域の観光客は2015年に1586万人だったが、地震発生の16年は987万人に減った。

 

今年も回復が進まず、地震前の7割程度になる見通しだ。

 

農家の会員もいる阿蘇市のNPO法人「ASO田園空間博物館」によると、

 

農泊に訪れる人は激減したままで、農家からは「さみしい」といった声が相次いでいる。

 

同法人ではブログなどで阿蘇の風景やイベントの写真を発信する他、地域ぐるみで連携して交流する人を増やしたいと考える。

 

下城卓也事務局長は「ホテルや旅館と、農泊の復興は異なる。つながりをつくって交流する人口を増やし、人を呼び戻したい」と模索する。

支援 必要な地域
政府の「ふっこう割」など被災地の観光への支援は大型のホテル、旅館以外は対象にならず、批判が多い。

 

必要な地域に支援が回っていない。一方で被災地の農泊復興の問題は深刻で、東日本大震災では農家民宿を廃業した農家もいる。

 

だが、特効薬はない。誰もに呼び掛けるより、口コミやインターネット交流サイト(SNS)で広げ、

 

特定の人と深い関係を築き訪れる人を地道に増やすしかない。

<メモ> 「ふっこう割」
2016年4月に発生した熊本地震で観光需要が落ち込んだことから、産業の早期復興、風評被害の払拭(ふっしょく)を狙い、

 

旅行商品などを観光庁が助成。北海道地震や西日本豪雨などでも「ふっこう周遊割」「北海道ふっこう割」として被災地の観光産業を支える。

 

ただ、旅行会社を通じた宿泊の助成が主になるため、農家民宿など農泊は「結果的に対象外となってしまう」と問題視する声もある。

 

 

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