復旧諦めるしか…豪雨で被災のかんきつ園地 急傾斜、工事費多大 自己負担が重荷に 松山市の中島

西日本豪雨で被害を受けた愛媛県の島しょ部で、費用負担の大きさから園地復旧を諦める農家が相次いでいる。

 

かんきつ栽培が盛んな松山市中島の担い手の一人は、自己負担額が800万円に上ることが分かり

 

市への農地復旧の申請を断念した。被害を受けた急傾斜地や収穫物を運ぶモノレールの修復には

 

平地に比べ多大な工事費がかかる。農家は荒れ果てた農地を、ただ見守ることしかできない。

 

3・7ヘクタールでミカンや伊予カン、中晩かん「せとか」を栽培する金本聖太さん(39)は

 

70アールの園地が被災した。このうち収穫ができない40アールの修復費用は、市が概算提示した工事費の自己負担額では800万円に上る。

 

多額の費用がかかる上、修復後8年は収益につながらず、父と母の3人で園地を管理する金本さんは修復を諦めた。

 

県は園地の復旧で、三つの方法を提案している。一つ目は、被災前に近い状態まで園地を復旧させる「原形復旧」。

 

二つ目は、被災園地と隣接する園地を合わせて緩傾斜園地へと改良し、区画の形状を整える「改良復旧」。

 

三つ目は、被災箇所を整地しながら大規模な造成工事をする「再編復旧」。

 

原形復旧と改良復旧は農家の自己負担額が工事費の1割程度になる見込みだが、再編復旧では負担額が発生しない。

 

金本さんは再編復旧に期待したが、市から案内はなかった。「柔軟性を持ってさまざまな選択肢を用意してほしい」と要望する。

 

市によると、農家に被災園地の復旧事業は原形復旧を基本的に案内しており

 

被害農家が限られている中島は「(再編復旧の)検討がなかった」(農林土木課)とする。

 

島内でJAに出荷する農家の平均年齢は68歳。高齢化が進み、作業効率の良い平たん地でも廃園が出ている状況に、西日本豪雨が追い打ちをかけた形だ。

 

中島で農地復旧を諦めたのは金本さんだけではない。かんきつ園地のモノレールが被災した高木久和さん(66)

 

も復旧事業を検討せず、中生種の園地復旧を諦めた。高木さんは「今回の被災で、高齢化と労働力不足がさらに顕在化した。

 

被災した急傾斜地は放棄し、被災を免れた農地での栽培に集中する」と気持ちを切り替える。

 

急傾斜地でかんきつを栽培する50代の別の担い手農家も、極早生種の園地復旧を諦めた。

 

モノレールの破損も深刻だ。復旧したくても、モノレールの需要が全県的に急激に増えたため、資材供給が追い付いていない。

 

修復を請け負う業者は島内に1社。金本さんの園地では、レールは120メートル破断し9月末に修復する予定だったが、

 

10月下旬になってもめどが立っていない。モノレールの復旧には100万円がかかるという。

 

 

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