農の暮らし“平成の次”開く 本紙独自調査 26府県 移住最多 若者、子育て世代 目立つ

日本農業新聞が都道府県を対象に行った調査で、全国の約6割を占める26府県の移住受け入れ数が

 

 

過去最高を更新したことが分かった。主に2017年度の実績。都市から農村へ移住する田園回帰傾向

 

 

が改めて浮き彫りになった。移住者は、30代の若い世代が多いことも分かった。

 

 

ただ、地域の受け入れ体制によって、自治体ごとに大きな差が出ている。地域の担い手となる若者をいか

 

 

に受け入れるか。“平成の次へ”。地域の将来を懸けた取り組みが始まっている。

 

 

調査は、都道府県の移住施策担当者に移住者の数や傾向、施策などを聞いた。

 

 

移住者数の全国調査は政府統計になく各県域で移住者の定義が大きく異なるため

 

 

単純比較ができない。各都道府県ごとの過去の調査と比べた。

 

 

目立ったのは、栃木県が16年度に比べ1000人超の増加で2452人。

 

 

地方版総合戦略目標値の1550人を上回り、順調に増加している。

 

 

岡山県が同500人超の増加で3300人。鳥取県も過去最高の2127人に達した。

 

 

 

この他、福島県では前年比77世帯増の194世帯。東京電力福島第1原子力発電所事故などの被災地で

 

 

若い世代の復興支援の移住があるという。長野県、富山県、岐阜県、宮崎県も過去最高を更新した。

 

 

特に子育て世代となる30代の移住の増加が目立った。自然の豊かさやライフスタイルと仕事の両立に加え

 

 

農ある暮らしへの要望が強まっていることも分かった。香川県など複数の自治体から

 

 

「専業農家だけでなく半農半X、農業を支える起業希望者や週末農業、6次産業化など農への関わりが多様化している」との声が上がる。

 

 

 

滋賀や島根などは15年度や16年度に比べて移住者数が減った。

 

 

 

東京や大阪など都市部の府県は調査自体しておらず、新潟県は参考値のため未公表。

 

 

 

調査手法が異なり、過去と比較できない県も複数あった。

 

鳥取県大山町 つながり やりがい 「なんか楽しい」

 

移住者の受け入れ体制をどう整備するか。各自治体で試行錯誤が続く。

 

 

 

重要なのは住民の自主性だ。中山間地の農村、鳥取県大山町は、地元農家らが住民主導で

 

 

移住者を呼び込む。移住支援で中心的な役割を果たすのが「築き会」。

 

 

メンバーは地元農家や移住して起業した若者ら40人。同会がサポートした移住者らは過去6年で63世帯165人に上る。

 

 

 

会の拠点は古民家。にぎわいの場だ。会の取り組みは移住定住の促進だけではない。

 

 

古民家の再生、婚活、アートや食のイベントなどさまざまな地域おこしを進める。

 

 

「なんか楽しい」。そんな雰囲気が人を集める。

 

 

 

同会副代表で埼玉県出身の中村隆行さん(44)は、2001年に東京都のバーテンダーから漁師に転身した。

 

 

漁師の仕事が何とか形になった時、地域を見回すと過疎高齢化が進む、空き家が増えていた。

 

 

地域の問題に関心を持った。「とりあえず動いてみよう」。町内の若手起業家らと13年に同会を立ち上げた。

 

 

 

「地域のいろんな立場の人と人がつながると、知恵が出る。やりたいことが実現できる」と中村さん。

 

 

 

地域全体を盛り上げる活動を議論する。自ら楽しむことが基本。つながりをつくる。それがまた、やりがいになる。

 

 

 

同会メンバーでシイタケ農家の生越彰拡さん(40)は、農業に関心を持つ移住希望者の先生だ。

 

 

 

農業の魅力や生計の立て方を経験を基に話す。実践的で、柔軟性に富む。

 

 

「農業はもうからないイメージがあるが、十分にやっていける。厳しさがあっても基本的に前向きな農業を

 

 

 

多くの若者に伝え、仲間を増やしたい」と考える。仲間は少しずつ増えている。

 

 

 

同町は、農家も移住者も、世代や仕事、立場の垣根なく地域に対する意見を前向きに言い合う。

 

 

 

それが結果的に移住者が増える素地をつくる。

 

 

地元出身の農家、小林直哉さん(34)は笑顔で言い切る。

 

 

「農家や地元出身者だけじゃなくいろんな人が連携することが未来を開く。人口が減って

 

 

地域の形は変わっても、温もりある手作りの地域づくり。それができれば大丈夫だ」

 

 

 

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